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2023年、年末医薬品供給状況

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 今年も残すところあと数日となりました。2023年末時点での自分が勤務する薬局の薬の供給状況等について記載します。2024年の年明けにも影響する内容となると思われます。

インフルエンザの蔓延による供給不足が続く

 2023年は例年より早く、9月頃からインフルエンザ感染症の患者様が薬局を訪れるようになり、それに伴いコロナ感染者の数が減ってきた印象です。とは言えコロナ感染者数は決してゼロになったわけではなく、自分が勤務する薬局でも1日に数人は対応していました。10月頃から徐々にインフルエンザ感染症数が増え始め、年末12月には毎日10人に満たない程度ですが患者さんが来ていた印象です。

 もちろんコロナ、インフルエンザ感染が陰性であっても風邪の症状があればそれに合った解熱剤や咳止め、痰切等が処方されるため、冬の間の薬の需要は高く繁忙期でもあります。

インフルエンザ感染症にかかわる薬

 当薬局では解熱鎮痛剤のカロナール錠200、また同成分のジェネリックは多目に確保できていたため対応できていますが、カロナール錠300の供給がなくなってきています。あまり外来の処方でカロナール錠300を使用する事はありませんが、居宅対応している患者さんで定期的に服用している方がいたり、たまに体重や年齢によりカロナール錠300が処方されるケースがあり在庫がひっ迫しています。

 またインフルエンザ治療薬であるタミフルに関して、小児に使用されるタミフルドライシロップ3%がジェネリックを含め供給不足となっています。錠剤が服用できず、イナビルやリレンザなどの吸入薬のしようが難しい小児の患者さんへの選択肢はタミフルドライシロップ3%しかないと思いますので、このまま2024年の1月に突入し感染状況が長く続く場合にはいつか在庫消失となる可能性もあります。その場合にはタミフルカプセルを脱カプセルして使用する事も可能です。

 中外製薬が換算表を公開しています。厚生労働省も認めている方法となりますが、実際にこれを行う事になったらかなり薬局としての手技は増えて手間になってしまう事は間違いありません。できる限り供給されているドライシロップ製剤で対応できれば良いな…と思います。

以前から供給不足が続く薬剤

 今年の夏はコロナ感染症の広がりがあり、その影響もあり供給不足が続いています。年間を通してこのように風邪薬一般が供給不足になることは今まではなかなかなかったように感じますが、今年はそれが年末顕著に表れていたと思います。現在風邪の諸症状に使う薬で、当薬局で手に入りにくい薬は下記の通り。規格は各種すべて供給が薄いと思われます。

解熱鎮痛剤:アセトアミノフェン製剤、イブプロフェン製剤

鎮咳薬:デキストロメトルファン製剤、アスベリン製剤、レスプレン錠、コデインリン酸塩製剤

去痰薬:カルボシステイン製剤、アンブロキソール製剤、ブロムヘキシン製剤

気管支拡張剤:ツロブテロールテープ製剤

咽頭炎・腫脹:トランサミン製剤

風邪薬以外の供給が薄い薬は状況変わらず

 コロナやインフルエンザ感染症、また冬の他の風邪症状に使用する薬剤に関して言えば上記の通りですが、他の薬で供給が薄い薬剤は以前からあまり状況は変わっていないように感じます。毎月薬局に対して割り当てられる供給量がある程度決まっているようで、後は卸が在庫状況に応じて余裕があれば割り当ててくれている印象です。

 2023年10月末時点で書いた記事はこちら

 特に高血圧治療薬のニフェジピンCR錠に関しては各規格、また先発医薬品を含めて毎月ギリギリの割り当てでなんとか供給してもらい患者さんに薬が行き届くようにしている形です。場合によっては他のメーカーのジェネリックの使用もしなくてはいけないことがあり、患者さんには都度説明が必要なので本当に手間となってしまいますが、患者さんに余計な不安を与えないようにしなくてはと思っています。

次々出てくる新たな懸念

 また沢井製薬から、高血圧・狭心症・慢性心不全治療薬であるカルベジロール錠10mg「サワイ」の一部ロットが自主回収となったと報告がありました。理由は安定性モニタリングにおいてPTP包装品について純度試験が承認規格に適合しなかったためとの事、また品質に万全を期すべくPTP包装品の新規の製造を見合わせることが報告に上がっています。

 カルベジロール錠10mgについては、沢井のシェアが6割程度だと話しを聞きました。そのため別メーカーのカルベジロール錠10mgの奪い合いがすでに始まっています。いち早く情報を察知した薬局は早めの在庫の確保に走っていると思いますが、先発医薬品を含む同成分薬に供給制限がかかるでしょう。すきをついて在庫があるメーカーの物が確保できればラッキーだと思います。また沢井のジェネリックが速く製造再開する事を祈ります。

処方されないと気付かない供給制限

 あまり自分の勤務する薬局で使用していない薬剤の場合、供給制限がかかっているかどうかすぐに判断することが難しい場合もありました。当薬局では在宅を中心に行っているクリニックの処方を受け、介護保険を用いた居宅訪問の対応をする場合があります。新規で居宅対応を頼まれた患者さんに処方されていた点滴や、生食注シリンジ・ヘパリンロックシリンジ等が処方されており、卸に問い合わせたところ品薄でかなり前に使用経験があったため供給してもらったケースが最近ありました。

 ただ卸から供給された分だけではまかなう事ができず、グループ薬局内の他の店舗に在庫となっていたものを分けてもらって何とか患者さんに提供しているといった状況です。在宅で点滴を使用している患者さんというのは正直に言うといつまで処方が続くか分からないようなケースが多いです。ただご家族から話を聞く限り意外と元気そうにしていたりする事もあるため、本当に今後の薬の供給状況に心配しかありません。処方医や訪問に入る看護師さんについても薬の供給状況についてご理解いただき、相談しながら必要なものを提供していくしかない状況です。

今後薬局内の薬の管理はどうすべきか

 薬局に限った事ではないかもしれませんが、薬局内の薬の在庫金額というのはおおよそ1カ月で使用する薬の金額を目安にしています。あまり過剰に在庫してしまうのも会社の保有する資産の汎用性が落ちるため良くないですし、逆に少なすぎでも不足などにより患者さんが他の薬局に行ってしまう機会損失につながる可能性があるためです。しかしコロナ渦から薬剤供給不安定が続き、手に入る物は早めに入手しておかなければ今後の対応について不安となる状況です。

 昨年まで息を潜めていたインフルエンザが今年になってこんなに猛威を奮うとは予想ができませんでした。確かにコロナ感染症が5類になり、人の往来も制限がなくなっている現状ではありますが、そこでインフルエンザ治療薬を大量に購入するという決断には至らないでしょう。

 インフルエンザ治療薬について、オフシーズンの生産体制については不明ですが、おそらく使用しなかった薬局は一時薬を返品処理する事になると思います。この冬からインフルエンザの感染状況がコロナが出てくる前の例年の水準となっているのであれば、今後は月単位ではなく年単位で薬の備蓄を考えておかなくてはならないかもしれません。

 卸からの薬の供給も実績がないと難しいケースも増えてきたため、薬局業界はなかなか新規で参入して安定して薬を患者さんにお渡しし、利益を出していくのは難しくなっているのかもしれません。また処方医も自分が思うような治療ができないケースも出てきているのではないでしょうか。

 早くこの不安が払拭されるようになる事を祈りながらも、この環境下で判断を早く対応しながら乗り越えていかなくてはいけないと思っています。

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