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統合失調症およびその治療薬について

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 統合失調症は思考、感情、行動などの統制が困難となり、診療的には幻覚や妄想、自発性の低下、感情の平板化などの特異な症状をきたす精神疾患です。主に思春期から青年期にかけて発病し、長期間の経過をたどることが多いです。その病態と治療薬についてです。

 精神疾患としてうつ病治療の薬と個人的に分かりにくくなりやすいためまとめます。

統合失調症の症状について

 統合失調症は思考、感情、意欲、認知機能などのさまざまな領域に多彩な症状や障害を呈する疾患です。

思考障害

 思考の障害として話がばらばらで紹介不可能になる滅裂思考、文脈や行動などにまとまりがなくなる連合弛緩、話が急に止まるといった思考途絶などがあります。思考内容の障害としては妄想が代表的で、被害妄想や誇大妄想も認められる事があります。

知覚障害

 知覚障害は統合失調症の70%の症例に認められ、実際にないものが見えたり聞こえたり、感じられたりする症状です。統合失調症では幻聴が多くみられます。

感情障害

 感情の平板化や感情の鈍化がしばしばみとめられます。表情が乏しく身振り手振りや視線の動きが減り、場にそぐわない情動が出現することもあります。

意欲障害

 意欲が低下した状態は自発性の低下とも言われ、なのもする気が起こらなくなり引きこもりがちになることがあります。意欲が極端に低下し外界からの反応にも応じなくなった状態を昏迷と言います。

自我障害

 自分の考えや行動が他人によって操られる、考えを吹き込まれるというさせられ体験という症状が認められます。

認知機能障害

 認知機能とは外界からの情報を知覚、獲得、理解し反応する能力であり、具体的には注意、記憶、問題解決能力などを指します。認知機能障害が統合失調症の基礎的な障害であると考える動きもみられ、事実社会的な予後・転機には精神症状よりも認知機能障害の重症度が大きく寄与している事が最近の調査でも明らかになってきています。

統合失調症の薬物治療

統合失調症の病因として、ドパミン神経系やグルタミン酸神経系の異常が考えられていますが、現在剤治療の中心となるのはドパミン神経系のうち幻覚妄想に関係するとされる中脳-辺縁系路のドパミンD₂受容体の遮断効果のある抗精神病薬です。

 1952年にクロルプロマジンの抗精神病効果が証明されて以来、フェノチアジン系、ブチロフェノン系薬物が発表されました。これらを定型抗精神病薬と言います。副作用で錐体外路症状、遅発性ジスキネジア、悪性症候群などを引き起こすため問題となっていましたが、1996年にリスペリドンが紹介されて以来副作用の少ない非定型向精神薬が治療の主流となりました。今のところ抗精神病薬間での効果の違いは小さく、むしろ副作用において大きく異なります。

定型抗精神病薬

 定型抗精神病薬は3種に分類されます。系統分類と自分が目にする代表的な薬剤についてまとめます。

フェノチアジン系

コントミン、ウインタミン(クロルプロマジン):1日50~450mg分服

ヒルナミン、レボトミン(レボメプロマジン):1日25~200mg分服

 総じて抗コリン作用や抗アドレナリンα₁作用を認め、鎮静作用と睡眠作用が強いため統合失調症以外にも様々な精神疾患における不安・緊張・衝動性、またベンゾジアゼピン受容体作動性睡眠薬が無効な不眠に用いられる。

ブチロフェノン系

セレネース(ハロペリドール):1日0.75~2.25mgからはじめ漸増、維持量1日3~6mg

 ハロペリドールは幻覚妄想に対する作用が強い、せん妄にも用いる。抗コリン作用は弱いが錐体外路症状やプロラクチン値上昇作用が強いため注意する。

ベンザミド系

スルピリド(ドグマチール):1日300~600mg分服、1日1200mgまで増量可。

 スルピリドは低用量で抗潰瘍薬として用いられるが、低用量では抗うつ作用、高容量(300mg以上)で抗精神作用が認められる。脳内移行が悪いため抗プロラクチン血症が生じやすく、乳汁分泌、月経異常などに注意する、高齢者では錐体外路症状が出やすい。

グラマリール(チアプリド):1日75~150mg、3回分服。

 グラマリールはベンザミド系抗精神病薬だが、統合失調症の病名での適応はなく、添付文書上の効能効果は脳梗塞後遺症に伴う攻撃的行為、精神興奮、徘徊、せん妄の改善及び特発性ジスキネジア、パーキンソニズムに伴うジスキネジアとなる。

非定型抗精神病薬

 現在統合失調症の全てのガイドラインで第一選択は非定型抗精神病薬となっている。錐体外路症状が少なく副次的に定型抗精神病薬よりも陰性症状に対する効果があり、またパーキンソン病治療薬併用の可能性がなくなるために認知機能にも効果が現れる事が期待されています。

セロトニン・ドパミン遮断薬(SDA)

 セロトニンとドパミンが拮抗する事を利用し、ドパミン神経の中脳-辺縁系路を遮断して抗精神病効果を得ながら、セロトニンを遮断することによって錐体外路症状をもたらす黒質-線条体経路をさほど遮断しないため錐体外路症状が少ない。

リスパダール(リスペリドン):1回1mg、1日2回より開始、徐々に増量。維持量として1日2~6mg2回分服。最大1日12mg

 リスペリドンは抗精神病効果に優れ、体重増加、血糖上昇は少なく近畿もないため統合失調症治療薬の第一選択薬となる。脳内移行が悪いためプロラクチン値を上げ、無月経、乳汁分泌、射精不能を起こしうる。

インヴェガ(ハロペリドン):1日1回6mg、朝食後、1日12mgを超えない、増量は5日間以上開けて1日3mgずつ。

 ハロペリドンはリスペリドンの代謝産物であり、プロラクチン値を上昇させるが徐放性剤のため立ち上がりは遅く鎮静が少ない。ちなみに一包化不可の薬剤。

ロナセン(ブロナンセリン):錠剤は1回4mg、1日2回食後より開始し漸増、維持量1日8~16mg2回分服、最大1日24mg。テープの剤型もあり、テープは20mg、30mg、40mgの3規格あり。維持量として1日1回40mg、24時間毎に張り替え、最大1日80mg

 ブロナンセリンはドパミン選択性がSDAの中では強く、錐体外路症状がみられやすい反面幻覚妄想症状への効果がより期待できる。

多元受容体作用抗精神病薬(MARAT)

ジプレキサ(オランザピン):1日1回5mg~10mgより開始m維持量は1日1回10mg

セロクエル(クエチアピン):1回25mg、1日2~3回より開始、漸増し1日150mg~600mg、2~3回分服。最大1日750mg

 セロトニン・ドパミン以外にコリン、ヒスタミン、アドレナリン他多くの受容体にも作用することで名前がついた。抗精神病効果に加え、うつ、双極性障害に対する効果も期待され、また鎮静効果があるため睡眠薬の代わりに使用されることがある。錐体外路症状やプロラクチン値上昇もより少ないとされるが、体重増加、脂質代謝異常や血統上昇が問題となるため糖尿病患者には禁忌。

ドパミン受容体部分作動薬(DPA)

エビリファイ(アリピプラゾール):開始量1日6~12mg、維持量1日6~24mg、1~2回分服

レキサルティ(ブレクスピプラゾール):1日1回1mgから開始、4日以上間隔をあけ1日1回2mgに増量

 アリピプラゾールはドパミンD₂受容体を部分的に刺激する部分作動薬でドパミン神経路を遮断しすぎず錐体外路症状やプロラクチン値上昇が少ないながら効果発現するとされるが、鎮静効果が弱く不眠や焦燥、胃腸症状が初期に出現することがある。

 ブレクスピプラゾールはアリピプラゾールよりもセロトニン5-HT₂A受容体遮断作用が強いため不安焦燥が起きにくく使いやすい。

疑義紹介にて薬剤が変更になったケース紹介

 認知症治療薬としてメマンチンOD錠20mg、糖尿病治療薬としてジャディアンス錠25mgが処方されていた患者さんに、クエチアピン錠25mgが追加で処方されるケースがありました。上記の多元受容体作用抗精神病薬(MARAT)の欄に記載がある通り、クエチアピン錠25mgは糖尿病の既往のある患者さんには禁忌となります。

 クエチアピンの禁忌事項についてDrに疑義紹介を行い、薬剤がリスペリドンに変更となりました。ある程度変更内容について予想はしていましたが、こちらの思い通りになったため安心した覚えがあります。

 治療薬の系統別の作用及び注意点を抑えておく重要性を感じました。

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