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医薬品供給状況について

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 調剤薬局では、医薬品の供給不足が数年続いている現状です。もともとジェネリック医薬品のメーカーの製造上の不正・問題に始まり、コロナやインフルエンザ感染症の拡大とともに解熱剤や咳止めの供給不足が続いています。

供給不足の原因となった小林化工

 2020.12月、小林化工が製造する経口抗真菌剤イトラコナゾール錠への睡眠誘導剤の成分混入により死亡2例を含む健康被害が発生、製造過程にも改ざんがあり、業務停止命令が出されました。またその後小林化工は2023.4に製造業としての業務停止。小林化工の工場はサワイグループホールディングスが譲り受けています。

イトラコナゾールへリルマザホンの混入

 具体的な薬剤として、イトラコナゾールという抗真菌薬にリルマザホンという睡眠薬が混入したことが原因で事件が発覚しました。リルマザホンとはリスミーという不眠症に用いる睡眠薬のジェネリック医薬品になります。イトラコナゾールはイトリゾールカプセルという抗真菌薬で、白癬(水虫)や爪白癬、カンジダが原因と思われる皮膚症状等の治療に用いられます。

 イトラコナゾールはCYP3A4という薬剤の代謝酵素を阻害してしまう作用が強いため、この代謝酵素が関与する薬剤と併用を注意しなくてはいけないものが数多くあります。リルマザホンもこのイトラコナゾールに混合されてしまったことにより、通常単独で服用するよりも作用が強く・長く出てしまった事も健康被害が拡大してしまった要因だと思われます。

ジェネリック医薬品の供給状況

 ジェネリック医薬品をめぐっては小林化工の不正発覚以降、各地のメーカーで製造工程に問題が見つかり、供給不足が続いています。

 サワイが小林化工の工場を買い取ってから稼働し、安定供給ができるまで当初は2年ほどかかると言われ、不祥事より数年が過ぎていますが、現状まだ供給が安定しない薬剤があります。薬剤の供給状況についての経緯と現在の供給についてまとめます。

当薬局の薬剤供給状況経緯

 自分が勤務する薬局では、ジェネリックメーカーの使用品目として、沢井製薬の屋号の物を数多く取り扱っています。小林化工に続き、日医工でも不祥事が発覚したため、今まで2社のジェネリックを使用していた各薬局が供給が安定していると思われる大手ジェネリックメーカーの「サワイ」への切り替えに舵を切ったと思われます。

 そのため小林化工の不祥事後、通常頻繁に使用していた降圧薬や脂質異常症治療薬も供給が安定せず、当時はだいぶヤキモキしたのを覚えています。また当時の担当MSが急に薬が入ってこなくなったなどと言ってくることもあり、当薬局でも急に別のメーカーのジェネリックの手配を行わなくてはならなかったケースもありました。

 現在は担当MS(医薬品卸の営業さん)も変わり、供給が滞らないようにうまく調整してくれていると思います。しかし年月が経ってもいまだに安定して供給されない医薬品が数多くあります。

コロナ感染症の拡大に伴う医薬品の在庫不足

 製造メーカーの不祥事以外に医薬品の在庫不足の一因として、コロナ感染症の拡大に伴う医薬品の使用量の増加があります。当薬局では2022年の4月頃から外来対応するコロナ感染症の患者数が増えはじめ、波がありながらもコロナ感染症が5類に分類変更された後2023年7月頃から再度感染者数が高い水準で推移していました。2023年10月に入り、インフルエンザ感染症の広がりとともにコロナ感染者数が減っては来ていますがけっしてゼロになったわけではありません。

 コロナ感染症もはじめまだ未知のウイルスである扱いの間は外来対応することも少なかったですが、当初より安全性の高い解熱鎮痛剤であるアセトアミノフェン製剤(カロナール)は欠品が目立つ傾向がありました。コロナワクチン接種後が始まり、その接種の副反応で発熱があった時のために処方されたり、市販品が品薄になるケースがあったためだと考えられます。

 今は対処療法薬である咳止め、痰切、抗生剤なども品薄傾向になっています。特に今あげた対処療法薬は今年の5月以降、コロナが5類感染症に分類されてからの薬局での確保がかなり厳しくなってきています。これはMSから聞いた話ですが、今までコロナ感染症が疑われる発熱外来を行っていなかったクリニック開業医が、5類感染症になった事で発熱患者に対しても検査を行うケースが出てきており、そこで拾われたコロナ感染者に対して薬を使うようになった。→その結果今まで使用していなかった薬局からの注文が増え在庫の消失に繋がっているのも一因、との事です。

 はじめからコロナ感染者の発熱外来対応に手を上げ取り組んでいたクリニックやその処方の対応をしていた薬局からすれば、検査機関が増えた事は喜ばしい事ですが薬の在庫に悩まされるという状況が産まれています。

2023.10末現在品薄の薬剤、具体的な品目

 現在自分が勤務している調剤薬局で品薄となっている医薬品についてまとめます。

ジェネリックメーカー問題で品薄になっている医薬品

 アダラートCR錠(ニフェジピンCR錠)、ミカルディス錠(テルミサルタン錠)、フェロミア錠(クエン酸第一鉄Na錠)、またテルミサルタンを配合している降圧薬配合剤のジェネリック医薬品各種が品薄の状況が続いています。特にニフェジピンCR錠については使用量が多い割に在庫の確保が難しく、毎月ギリギリでまわしています。

 また一部薬剤について先発医薬品は供給が止まっていませんが、ジェネリック医薬品の確保が難しくなっている薬剤は多々あります。

コロナ等需要の増加により品薄になっている医薬品

 カロナール錠(アセトアミノフェン錠)、ムコダイン錠(カルボシステイン錠)、メジコン錠(デキストロメトルファン臭化水素酸塩錠)、レスプレン錠(ジェネリックなし)、コデインリン酸塩錠、またこれらの薬剤の粉薬の剤型のもの。抗生物質各種も品薄になってきておりなかなか供給されない状況です。

供給がない薬剤についてとった具体的な対応

 自分が勤務する薬局では、薬の管理は基本的に管理薬剤師である自分が行っています。供給がない薬剤については、まず卸に問い合わせを行い同成分で代替になり、供給が止まっていないジェネリック医薬品がないか探します。ジェネリック医薬品の確保ができない場合には先発医薬品も視野に入れ同成分の物を探します。在庫が確保できそうなものはある程度使用量を見越して大目に発注を入れておきます。

 コロナ渦になってから咳止め薬に関しては一時期特に苦労しました。頻繁に使用していたのはメジコン錠のジェネリックであるデキストロメトルファン臭化水素酸塩錠でしたが、こちらも毎月必要な量が入ってこなくなったため代替となるレスプレン錠20mgを大量に仕入れ、Drにも相談してしばらくはそちらを使っていただきました。デキストロメトルファンの在庫が十分となったところで再びDrに相談して処方を戻してもらいましたが、今年のコロナピーク時にはもう咳止め薬はどちらも入ってこない状況となってしまい、コデイン製剤も在庫が付きかけていました。苦肉の策で漢方の咳止めである麦門冬湯を準備し、咳の症状が軽い人にはそちらも使ってもらいながら納品・在庫の回復を待つという状況でした。

 ここ最近はインフルエンザ感染症の広がりとともに、アセトアミノフェン製剤の供給が怪しくなってきています。以前から一定量しか納品がなく、他の小児科の店舗では小児に使う粉の剤型のアセトアミノフェンの確保ができず、錠剤を粉砕して処方してもらったといったケースを聞きました。またこれも感染症の広がりの影響だと思いますが、抗生剤も粉の剤型の物を中心に、大分品薄になってきています。

卸から病院・クリニック・薬局の苦労

 病院やクリニックを受診した後、薬局で薬をもらうというのが今の流れかと思います。患者さんが内服する薬だけでなく、病院での検査キットが不足していた時期もあり、なかなかどこも苦労していたようです。薬局が薬を仕入れしている卸企業もきっと医師や薬剤師から多くの無理難題を言われたことでしょう。

 適切な薬が患者さんの手に渡るように、医師が必要だと判断した治療ができるように薬の流通にかかわる企業は努力していると言いたいと思います。自分も限られた薬剤をどうやって患者さんにうまくいきわたるようにするか医師と相談し、考えてきたつもりです。徐々にでも状況が良くなることを期待します。気温の変化が出てくる時期ですが、引き続き感染症予防に努めていただきたいと思います。

今後の懸念事項

 後発薬(ジェネリック医薬品)最大手の沢井製薬が胃炎・胃潰瘍治療薬「テプレノンカプセル50mg『サワイ』」の品質確認検査で約8年にわたり不正を行っていたと発表されました。承認を受けた手順とは異なり、カプセルから内容物を取り出して別の新しいカプセルに詰め替えた検体で溶出試験を行い、合否判定を行っていた事が明らかになりました。

 当薬局ではサワイのジェネリック医薬品を多く取り扱っています。奇跡的にテプレノンカプセル50mgの使用はほとんどなく、当薬局では同じような働きのレバミピド錠「オーツカ」を多く使用していました。

 ただ沢井製薬が今後業務停止命令等の行政処分を受けた場合、医薬品業界の流通に大きな影響を与え、ひいては患者さん、国民一人一人に必要な薬剤がいきわたらなくなると、大げさではなくそう考えます。ジェネリックメーカーの不祥事が相次いでいるのは確かですが、業務改善をして品質の一定したジェネリックを供給してもらいたいと思います。

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