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認知症治療薬について

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 日本の製薬大手「エーザイ」がアメリカの「バイオジェン」と共同で開発した、アルツハイマー病新薬「レカネマブ」が承認されました。現在薬局で処方される認知症治療薬および周辺症状治療のための薬剤についてまとめます。

アセチルコリンエステラーゼ阻害剤

 アルツハイマー病の中核症状である認知機能障害はコリン作動性神経の脱落、それに伴う脳内アセチルコリン量の減少が原因のひとつとして考えられている。そのためアセチルコリン分解酵素であるアセチルコリンエステラーゼを阻害し、脳内アセチルコリン量を増加させることによりコリン作動性神経機能を賦活させるアセチルコリンエステラーゼ阻害薬が多く開発され世界的に使用されている。

処方される薬剤は3種

 アリセプト(ドネペジル塩酸塩)

 通常、成人はドネペジル塩酸塩として1日1回3mgから開始し、1~2週間後に5mgに増量し、経口服用する。高度のアルツハイマー型認知症患者には、5mgで4週間以上経過後、10mgに増量する。なお、症状により適宜減量する。

 レミニール(ガランタミン臭化水素酸塩)

 通常、成人はガランタミンとして1日8mg(1回4mgを1日2回)から開始し、4週間後に1日16mg(1回8mgを1日2回)に増量し、経口服用する。なお、症状に応じて1日24mg(1回12mgを1日2回)まで増量できるが、増量する場合は変更前の用量で4週間以上服用した後に増量する。

 イクセロンパッチ・リバスタッチパッチ(リバスチグミンテープ)

 成分が同じ薬剤の併売となるため、商品名は先発医薬品が2種、ジェネリックは各社発売している。

 通常、成人にはリバスチグミンとして1日1回4.5mgから開始し、原則として4週毎に4.5mgずつ増量し、維持量として1日1回18mgを貼付する。また、患者の状態に応じて、1日1回9mgを開始用量とし、原則として4週後に18mgに増量することもできる。

 すべてに共通として、初期用量は少なく設定されており2週ないしは4週の間隔をあけて増量していく。これは消化器系の副作用、嘔気や下痢、消化性潰瘍の発現を抑えるためで添付文章にも明確に記載されているため、ステップを踏んでいない場合には疑義紹介が必要となる。

NMDA受容体拮抗薬

 アルツハイマー病がすすむと、脳内のグルタミン酸という神経伝達物質が過剰となり記憶に関する神経の働きが悪くなる。興奮性の神経伝達物質であるグルタミン酸濃度が異常に上昇するとグルタミン酸受容体のサブタイプであるNMDA受容体チャネルが過剰に活性化、神経細胞に障害をもたらしてしまう。このNMDA受容体を選択的に拮抗し、過剰なグルタミン酸による神経障害を防ぐことでアルツハイマー病の進行を予防できると考えられます。

処方される薬剤は1種

 メマリー(メマンチン塩酸塩)

 通常、成人はメマンチン塩酸塩として1日1回5mgから開始し、1週間に5mgずつ増量し、維持量として1日1回20mgを経口服用する。

 アセチルコリンエステラーゼ阻害剤と同様に1週間以上の間隔をあけて徐々に増量する必要がある。世界唯一のNMDA受容体拮抗薬で、唯一アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の3種との併用が可能。適応が中等度及び高度アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制となっており軽度認知症については効果が薄いと考えられている。また激高、興奮、攻撃的、徘徊といった周辺症状の軽減効果が認められている。

その他認知症に有用な薬剤

 アルツハイマー型認知症については選択肢が少ないため、正直上記の薬剤について理解していない薬剤師は少ないと思われます。その他脳梗塞や脳出血後遺症による認知障害、随伴症状の治療に有用な薬をまとめます。

脳循環改善薬

 セロクラール(イフェンプロジル酒石酸塩)

 血管平滑筋直接作用や交感神経α受容体遮断作用による脳循環改善作用、脳虚血時の代謝異常改善作用、血小板凝集抑制作用を有する。脳梗塞や脳出血後遺症に伴うめまい、頭重などの自覚症状、抑うつ、不安、興奮、焦燥などの精神症状を改善する。

 サアミオン(ニセルゴリン)

 脳循環改善作用、血液流動性改善作用、脳エネルギー代謝改善作用などを有し特に脳梗塞、脳出血後遺症による意識や自発性の低下、認知障害の改善に優れている。

 ケタスカ(イブジラスト)

 血小板及び脳神経ホスホジエステラーゼ阻害作用やプロスタサイクリンの作用増強によるの受ける流量増加作用、血小板活性化抑制作用や血小板凝集抑制作用を有する。脳梗塞や脳出血後遺症に伴う自覚症状を改善する。

意欲や自発性低下に対する治療薬

 シンメトレル(アマンタジン塩酸塩)

 ドパミン作動性神経、セロトニン作動性神経の機能亢進、NMDA型グルタミン酸受容体拮抗作用等が報告されており、意欲や自発性の低下の改善作用を有する。またシンメトレルはパーキンソン病治療薬でもあり、嚥下反射を誘発するため嚥下障害改善にも有用。

攻撃性、精神興奮に対する治療薬

 グラマリール(チアプリド)

 ドパミンD₂、D₃受容体拮抗作用があり、攻撃的行為、精神興奮、徘徊、繊毛などの改善作用を有する。

処方されることが多い漢方薬

 認知症の患者さんに治療薬として使われる漢方薬の代表として、抑肝散と抑肝散加陳皮半夏という漢方薬が処方されます。これ以外にも脳循環を改善させる目的や患者さんの体質により選ばれる漢方薬もありますが、この2種についての紹介です。

抑肝散

 抑肝散とは、元々神経症、不眠症、小児夜泣き、小児疳症に適応のある薬剤で小児にも用量を調整して処方されることがある漢方です。神経症や不眠症でおこる症状の不眠、イライラ、落ち着きがないといった症状は認知症にも通ずる症状です。認知症の周辺症状(BPSD)に効果がありると言われています。

抑肝散加陳皮半夏

 その名の通り抑肝散に陳皮と半夏という生薬を加えた漢方薬です。健胃効果を期待した陳皮、鎮嘔、鎮吐、鎮咳、去痰効果を期待した半夏を加えることにより、体力がなく胃腸が弱いといった患者さんに抑肝散より適した薬剤となっています。

新薬レカネマブについて

 冒頭記載した新薬のレカネマブについて、「ケレンビ点滴静注」という薬品名でアルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制の適応に承認が取得されました。エーザイのニュースリリースはこちら

 点滴による治療薬とのことで薬局で処方される薬剤ではないと考えられますが、今後の治療の選択肢として検討される医療機関が出てくると思います。薬剤師として現存の治療薬との使い分けや利用方法について、情報が出てきたら理解し患者さんや医療機関からの問い合わせに対応できるようにしておかなくてはいけないと思います。

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